宿泊者アンケートを集計・要約するプロンプト集
この記事の要点
旅館・ホテルの宿泊者アンケートをAIで集計・要約するプロンプトを7例掲載。満足度の傾向把握から改善提案の抽出まで、コピペして使えるテンプレートで回答分析にかかる時間を大幅に短縮できる。
結論:手入力集計に費やしていた時間は大幅に削減できる
宿泊者アンケートの自由記述を1件ずつ読んで傾向をまとめる作業は、件数が多くなると1〜2時間かかることもある。AIにアンケートデータを貼り付けて適切な指示を出せば、同じ作業が5〜10分に短縮される。本記事では旅館・ホテルの実務で実際に使えるプロンプトを7例掲載する。コピーしてそのまま使えるよう、入力フォーマットの説明も添えた。
なぜアンケート集計にAIが効くのか
アンケートの集計作業は2種類に分けられる。1つはチェックボックスや5段階評価など選択式の「定量データ」、もう1つは「良かった点・改善してほしい点」などの「自由記述(定性データ)」だ。
定量データの集計はExcelやGoogleフォームで自動化できる。問題は自由記述だ。件数が30〜50件を超えると、全件を読んで「多い意見」「気になる指摘」を把握するだけで相当な時間がかかる。AIはこの自由記述の要約・分類・優先度付けに特に力を発揮する。
ポイントは「何を知りたいか」をプロンプトで明示することだ。「要約して」だけでは曖昧な要約しか返ってこない。「接客・食事・設備の3カテゴリに分類し、各カテゴリのポジティブ意見とネガティブ意見を件数付きで整理して」のように構造を指定すると、朝礼や月次会議でそのまま使える出力が得られる。
基本プロンプト:自由記述をカテゴリ別に整理する
最初に覚えておきたいのが、自由記述をカテゴリに分類して件数を出すプロンプトだ。データはCSVやExcelからコピーして貼り付ければよい。
以下は旅館の宿泊者アンケート(自由記述)の一覧です。
【アンケートデータ】
(ここに自由記述を1行1件で貼り付ける)
上記を以下のカテゴリに分類し、各カテゴリのポジティブな意見とネガティブな意見を件数付きで整理してください。
カテゴリ:接客・スタッフ対応 / 料理・食事 / 客室・設備 / 温泉・大浴場 / アクセス・立地 / その他
出力形式:
カテゴリ名
ポジティブ意見(N件):代表的な意見を2〜3文で要約
ネガティブ意見(N件):代表的な意見を2〜3文で要約
最後に「最も多く指摘されている改善課題トップ3」をリストアップしてください。
このプロンプトの出力は月次の振り返り会議にそのまま使える。「最も多く指摘されている改善課題トップ3」を毎月比較することで、対策の優先順位が明確になる。
評価スコアと自由記述を組み合わせて分析する
5段階評価など数値データと自由記述を組み合わせて分析すると、「高評価グループが特に何を評価しているか」「低評価グループが何を不満に感じているか」を切り分けられる。
以下は宿泊者アンケートのデータです。各行は「総合満足度スコア(1〜5), 自由記述」の形式です。
【アンケートデータ】
(ここにデータを貼り付ける)
以下の2点を分析してください。
1. スコア4〜5(高評価グループ)が共通して評価しているポイントを3つ抽出し、それぞれに代表的なコメントを1件引用してください。
2. スコア1〜3(低評価グループ)が共通して不満に感じているポイントを3つ抽出し、それぞれに代表的なコメントを1件引用してください。
分析結果をもとに、来月優先的に取り組むべき改善策を1つ提案してください。
数値評価の高低で意見を分けることで、「全体的には高評価だが、特定の層からの不満が埋もれている」という状況を発見しやすくなる。
月次レポート用の要約文を生成する
経営者や上長への月次報告用に、アンケート結果を箇条書きではなく文章で要約したい場面がある。
以下は今月の宿泊者アンケート集計結果です。
【集計データ】
回答件数:(件数)
総合満足度平均:(スコア)/5.0
再来訪意向あり:(割合)%
カテゴリ別評価:
・接客:(スコア)/5.0
・料理:(スコア)/5.0
・客室:(スコア)/5.0
・温泉:(スコア)/5.0
主な自由記述(抜粋):
(ここに代表的な意見を10〜20件貼り付ける)
上記をもとに、月次報告書に掲載する200字程度の要約文を作成してください。
要約文には①今月の総合的な傾向②特に高評価だった点③改善が求められている点 の3要素を含めてください。
口語ではなくビジネス文書として自然な文体にしてください。
このプロンプトで生成した文章はそのまま使えることも多いが、スコアの記載が事実と合っているかを必ず確認してから報告書に貼り付けること。
ネガティブ意見だけを抽出して深掘りする
改善活動に使いたい場合は、ネガティブ意見だけを集中的に整理するプロンプトが役立つ。全体要約では埋もれがちな小さな不満を拾い上げやすい。
以下は宿泊者アンケートの自由記述です。
【アンケートデータ】
(ここに自由記述を貼り付ける)
この中から、不満・クレーム・改善要望に該当するコメントをすべて抽出してください。
抽出したコメントを以下の軸で分類してください。
- 即対応可能(今週中に改善できる設備・オペレーション系)
- 中期的対応(1〜3ヶ月以内に検討すべき課題)
- 構造的課題(立地や建物など短期間での改善が難しいもの)
各分類に入るコメントの件数と代表的な原文を1〜2件ずつ示してください。
「即対応可能」カテゴリに入ったものは翌朝の朝礼で共有する、という運用にすると改善のスピードが上がる。朝礼での情報共有の効率化については朝礼・申し送りを要約するプロンプト集も参考にしてほしい。
OTA・口コミサイトのレビューを分析する
じゃらんや楽天トラベル、Googleマップなど外部サイトの口コミも、アンケートと同様にAIで分析できる。コピーして貼り付けるだけでよい。
以下は宿泊予約サイトに投稿された口コミです。
【口コミデータ】
(ここに口コミ本文を貼り付ける。評価スコアがあれば先頭に「★4」のように記載)
以下の観点で分析してください。
1. 繰り返し言及されているポジティブなキーワードトップ5
2. 繰り返し言及されているネガティブなキーワードトップ5
3. 競合他施設との比較に言及しているコメントがあれば抽出(なければ「なし」)
4. 「また来たい」「友人に勧める」など推薦意向に関するコメントの割合(おおよそ)
分析結果は箇条書きで出力してください。
口コミ分析の結果は集客改善に直接つなげられる。口コミ返信の実務についてはレビュー返信運用でも詳しく解説している。
アンケート結果から次月の改善計画を立てる
集計・分析だけでなく、「では何をするか」まで出力させると実用性がさらに高まる。
以下は今月のアンケート分析結果です。
【分析結果】
(ここに前のプロンプトで得た分析結果を貼り付ける)
この結果をもとに、来月実施すべき改善アクションを提案してください。
条件:
・スタッフ数を増やさずに実施できる改善を優先する
・1〜2週間以内に実施できるものと、1〜3ヶ月かけて取り組むものに分けて提案する
・各アクションに期待される効果を1文で添える
出力形式:表形式(アクション / 期間 / 期待効果)
AIが出したアクション案がそのまま実行可能とは限らない。人員・コスト・施設の制約を加味して担当者が判断するための「たたき台」として使うのが適切だ。
多言語アンケートを翻訳して一括分析する
インバウンド客が増えている施設では、英語・中国語・韓国語の回答が混在することがある。翻訳と分析を一度に頼むプロンプトが便利だ。
以下は多言語で回答された宿泊者アンケートの自由記述です。日本語以外の回答も含まれます。
【アンケートデータ】
(ここに回答を貼り付ける)
手順:
1. 日本語以外の回答をすべて日本語に翻訳する
2. 翻訳後の全回答(日本語の回答も含む)を対象に、以下のカテゴリに分類して整理する
カテゴリ:接客 / 料理 / 客室 / 温泉 / 言語・コミュニケーション / アクセス
3. 外国語話者と日本語話者で、評価傾向に違いがあれば指摘する
言語の判定と翻訳の精度には限界があるため、重要なコメントは原文も併記してください。
外国語話者が「言語・コミュニケーション」カテゴリで多くの不満を挙げている場合、フロント対応の多言語化が急務だとわかる。フロント業務の多言語対応についてはフロント引き継ぎのデジタル化も参照してほしい。
プロンプトを使う際の注意点
個人情報の除去を先に行う
アンケートに氏名・部屋番号・連絡先が含まれる場合は、AIに貼り付ける前に削除または匿名化する。回答内容だけでも十分に分析できる。社内のAI利用規程がある場合はその規程に従うこと。
出力は「仮説」として扱う
AIの要約は全体傾向の把握に向いているが、1件の重要なクレームが「その他」に吸収されることがある。ネガティブ意見の原文は必ず全件確認するか、重要度が高い案件については別途確認する運用を設けることを推奨する。
件数が少ない場合の扱い方
10件未満のアンケートをAIに分析させると、1件の意見が「傾向」として過度に強調されることがある。プロンプトの末尾に「サンプル数が少ない場合はその旨を明記し、断定的な表現を避けてください」と加えると、出力の信頼性が上がる。
アンケート分析を「朝礼共有」につなげる運用フロー
プロンプトの活用は単発で終わらせるより、業務フローに組み込むと効果が出る。以下は週次の運用例だ。
| タイミング | 作業 | 使うプロンプト |
|---|---|---|
| 毎週月曜朝 | 前週のアンケート自由記述を貼り付けて分類 | 基本プロンプト(カテゴリ別整理) |
| 月曜朝礼 | ネガティブ意見の即対応可能分を共有 | ネガティブ意見抽出プロンプト |
| 月末 | 月次レポート用要約文を生成 | 月次レポートプロンプト |
| 四半期末 | OTA口コミと自社アンケートを比較分析 | OTA口コミ分析プロンプト |
この流れを定着させることで、アンケートが「読んで満足して終わり」の資料ではなく、改善サイクルを回す起点になる。クレームが口コミに転化する前に対処できる体制づくりにもつながる。クレーム対応の下書き作成についてはクレーム返信の下書きを作るプロンプト集が参考になる。
また、アンケート分析を自動化する方法については旅館AI活用:アンケート自動要約の実践例で事例を紹介している。ある程度の件数になると手動でのプロンプト実行よりも自動化のメリットが大きくなるため、件数が月100件を超えるようであれば検討する価値がある。
まとめ
本記事で紹介したプロンプトをまとめると次のとおりだ。
| プロンプト | 主な用途 |
|---|---|
| カテゴリ別整理 | 全体傾向の把握・朝礼共有 |
| スコア×自由記述分析 | 高評価・低評価層の違いを把握 |
| 月次レポート生成 | 経営報告・会議資料 |
| ネガティブ意見抽出 | 改善課題の優先順位付け |
| OTA口コミ分析 | 外部評価の傾向把握・集客改善 |
| 改善計画立案 | 次月アクションのたたき台 |
| 多言語一括分析 | インバウンド客の意見整理 |
どのプロンプトも「目的を具体的に書く」「出力形式を指定する」の2点を守るだけで精度が上がる。まず1週間分のアンケートで基本プロンプトを試し、出力を確認しながら施設の状況に合わせて文言を調整してほしい。
よくある質問
アンケートの自由記述をAIで要約しても正確ですか?
定性的な傾向把握には十分使えます。ただし個別の意見が丸められることがあるため、重要なネガティブ意見は原文を必ず確認してください。AIの要約はあくまで全体像の把握用として活用するのが適切です。
何件以上のアンケートからAI集計が有効になりますか?
10件程度から傾向は読み取れます。件数が少ない場合はAIも「サンプルが少ない」と明示して判断を慎重にする傾向があるため、集計結果の活用方法をプロンプト内で指定すると精度が上がります。
ChatGPTとClaude、どちらが旅館のアンケート分析に向いていますか?
どちらも実用水準です。長文の自由記述が多い場合はコンテキスト長が長いモデルを選ぶと一度に処理できる件数が増えます。最新の対応件数は各サービスの公式情報を確認してください。
アンケートデータをAIに送る際の個人情報の扱いは?
氏名・部屋番号・メールアドレスなど個人を特定できる情報は除いてからAIに入力してください。ほとんどの旅館アンケートは設問と回答のみでも集計できます。社内規程に応じてデータ送信可否を確認することを推奨します。